令和7年3月26日午後1時から開かれた札幌市議会令和7年第1回定例会の第一予算特別委員会で、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」(共生条例)に関して寄せられた108件の陳情に対する討論が行われました。
討論は、市長が提出した令和7年度一般会計予算などと一括して行われ、発言した7人の委員のうち6人が共生条例について意見を述べました。
最後に108件の陳情について一括して採決が行われ、会派「坂元・荒井」の坂元みちたか委員一人が採択、他が不採択となったことから、第一予算特別委員会では陳情は不採択となりました。
下記は、その関係部分を録音データから文字起こし起こししたものです。
【議長】
委員会を開会いたします。報告事項はとくにありません。それでは議事に入ります。最初に日本共産党所属議員全員による「令和7年度一般会計予算を撤回の上、再提出を求める動議」を議題として田中委員より提案説明をいただきます。
(略)
それでは、動議に対する質疑を行いますが、通告がございませんので質疑を終了いたします。次に本委員会に付託されました全案件および動議に対する討論を行います。和田委員。
【自由民主党・和田勝也委員】
是々非々で検証してまいりたい
私はただいまから自由民主党議員会を代表して、第一部予算特別委員会に付託されました「令和7年度予算」並びにその他諸議案について賛成する立場で、また本定例会の議案第16号「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」に関する陳情108件については不採択すべきもの、日本共産党提出の動議には反対の立場で討論を行います。
(略)
最後に「札幌市誰もが繋がりある共生のまちづくり条例案」についてです。我が会派は、本委員会に付託されました令和7年度予算並びにその他諸議案について賛成することから本定例会の議案第16号に関する陳情108件については不採択するすべきものとしましたが、本条例は共生社会実現に向けた理念条例とのことであるものの、実際に具体的な課題と直接向き合っていくためには、個別の施策や事業の推進を通じてということになります。
具体的な個別の施策や事業については、丁寧な議会議論などを経て、その必要性や是非を決定していく必要があるものであり、来年度予算の審議に際しては、我々としても市政の一翼を担う立場として、是々非々で検証してまいりたいと考えており、札幌市側においては本条例に関する議会議論等を踏まえ、こうした姿勢を決して忘れないようにしていただく必要があると指摘します。
以上、本特別委員会における我が会派の主張のうち、主な内容のみ述べさせていただきました。我が会派といたしましては、責任会派として、これらの実現を通じ本市発展のため、責任をもって対応していく所存でありますので、会派の皆様並びに理事者の皆様には十分ご理解いただきますよう申し上げて討論を終わります。
【民主市民連合・たけのうち有美委員】
国際的な潮流に合致するもの
私は民主市民連合を代表し、第1部予算特別委員会に付託されました2025年度各会計予算案についての諸議案については賛成。第1号議案「一般会計予算案の撤回のうえ、再提出を求める動議」には反対、並びに議案第16号「札幌市がつながり合う共生のまちづくり条例案に関連する陳情」108件については不採択立場で討論を行います。
(略)
議案第16号「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」についてです。近年、世界的に人権意識の高まりと合わせ、多様性への理解を深める必要性が叫ばれていますが、本条例案は、そうした国際的な潮流にも合致するものと考えます。
これまで我が会派は、共生社会の実現に向けて、全ての人の人権が尊重され、多様性や価値観を認め合うことを各種政策に反映することを提言してきました。
本条例案制定は、年齢・性別・性的指向・性自認・障害者・国籍など、あらゆる属性を持つ人々の多様なニーズに対応した施策の推進を促す、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に繋がっていくものであり、大きな意義があると考えます。
本条例案は、差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され、能力を発揮できる多様性と包摂性が強みとなる社会を共生社会と定義した上で、その実現に向け、三つの基本理念、市の責務、市民・事業者の役割を明確化し、市の施策の基本事項を定めています。
また附属機関の設置による継続的な検討や、市民・事業者との協働による政策推進を規定しており、これは、共生社会の実現に向けた具体的な取り組みの開始を意味するものと理解します。
一方、本条例案には、108件の陳情と2000件を超えるパブリックコメントが寄せられました。意見には、多様性や包摂性への懸念など、慎重議論や制定に否定的なものもありました。
それゆえに、本条例を制定し、異なる文化や価値観を持つ人々への共感と受容を深め、市民に多様性への理解を深めていくことが必要であると考えます。
多様な人々が互いに尊重し合い、協力し合う社会は社会全体の豊かさを生み出します。我が会派は、本条例の制定が対話と相互理解のもと、誰もが安心して自分らしく暮らし、活躍できる共生社会の取り組みの一歩となることを期待しています。
よって議案第16号「札幌市代表がつながり合う共生のまちづくり条例案」については賛成、本条例案から関連する陳情108件については不採択とすべきの立場です。
以上が第一部予算特別委員会において我が会派に所属する各委員が提言要望を交えて行った主な質疑です。議長を初め理事皆様におかれましては、各委員の指摘、提言について、今後の市政運営に積極的に反映していただくことを求めまして私の討論を終わります。
【公明党:竹内孝代委員】
少しでも現実を理想に近づける挑戦
私は公明党議員会を代表し、本特別委員会に付託されました令和7年度各会計予算およびその他の議案につきまして、これを賛成。本予算に関する動議については反対。陳情108件については不採択すべきものとの立場から討論を行います。
(略)
次にまちづくり政策局です。 初めに「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」についてですが、我が会派は、差別意識や差異へのこだわりを克服することこそ、平和と普遍的人権の創出への第一義であると考えています。
生命尊厳の時代を目指し、開かれた対話を通じて、誰一人取り残さない。そして誰もがつながり合う共生社会の実現が今求められております。共生社会とは、理想と現実の狭間で、少しでも現実を理想に近づける挑戦であり、どこかにゴールがあるものではありません。
引き続き、こうした挑戦を続けることに共生社会を目指す本質があるとの考えから、さまざまな声を受け止めながら、共生社会に取り組みをしっかりと進めるよう求めます。
以上が本委員会の審議において我が会派が取り上げてまいりました質疑等の概要です。理事者の皆様におかれましては、提言要望を十分に検討され、市政執行に当たられるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わります。
【日本共産党:吉岡弘子委員】
しっかりと対話をしていく機運をつくるためにも必要
私は日本共産党所属議員を代表し、本委員会に付託されました議案第1号・18号に反対。わが党が提出した動議に賛成。「誰もがつながり合う共生のまち作り条例」に関する陳情108件に不採択の立場で討論を行います。
(略)
「誰もつながり合う共生まちづくり条例」に対する陳情108点について、同条例が言うところの共生社会は「差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性や能力が尊重され、多様性と包摂性が強みとなる社会」ということを位置づけております。
障害のある方やアイヌの民族の方への実態調査特性によって、属性ががあることで差別を受け、生きづらさを抱えていることが明らかになっています。
条例案は、様々な意見があるからこそ、しっかりと対話をしていく、そのような機会を作るためにも必要であると申し上げます。
【坂元・荒井:坂元みちたか委員】
DEI条例そのものである
我が会派といたしまして第1部に付託されています議案第16号「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」について反対、係る陳情については採択。議案1号「令和7年度札幌市一般会計予算」および残余の議案については賛成。予算案動議については反対の立場で討論を行います。
まず議案第16号「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」については、反対の理由から申し述べさせていただきます。
この法案は、性の多様性、障害者、外国人など複数の条例を一括したものであります。条例案の提出は、検討会議の議事録を拝見する限り、なかなか政治色が強く、思いは逆に当事者差別を誘発する恐れがあり、実はこの条例案こそ、昨今、諸外国で廃止が続いているDEI条例そのものであると我々は感じております。
DEI条例を成立させた諸外国の状況は、予算をかけることで差別が解消されたという学術根拠はまだ乏しく、多様性教育の効果も証明されてはおりません。
むしろ予算が重点的にかけられる分野に変化が起き、既存の事業予算が削られ、様々な行政サービスの低下を招くことが散見されております。
最新の国際情勢から鑑みますと、若干遅いというか、周回遅れの観がございます。今となっては本市が掲げる海外の金融機関誘致にとっても、むしろマイナス要素の方が大きいと言わざるを得ない内容と考えます。
また、本議会の代表質問において市長からは「仮にこの条例案が否決されるということは、むしろ札幌はそういう国際性、許容性に反対をしている都市だということを表明してしまうことになるのではないか。そのことを大変懸念しています」という答弁がありました。
しかし、その理屈では既にDEIの見直し、廃止を行った。Microsoft、Google、アマゾン、メタ社などといった世界的企業は、国際性、許容性に反対する企業だということになってしまうわけであります。
また一方で、何が差別に当たるのかという差別の定義が確定していない以上、差別か否かを判断するのは、検討委員の関連する団体が、この職に付くのは想像に難くなく、有識者会議の議事録を見る限り、そういった団体が罰則規定を設けることを強く望まれている以上、自由な言論が萎縮してしまいます。
誤った正義感の押し付けがあれば、それこそが差別になってしまいます。制定後は議会での発言の自由が損なわれることが、ことすらも懸念されます。そうなることは、まさに多様性の排除、マイノリティ排除、反対意見を持つ者への弾圧そのものとなります。
本定例会で拙速な採決を行うこと自体、多様性の尊重を否定することと案じるところです。本条例案は、本来であれば、市民への十分な説明と機運の醸成が必要であり、そのためには、審議時間があまりにも短かすぎました。
我が会派は、この条例案については反対の立場であります。
(略)
以上、今後の市政にもぜひとも反映していただきたく、最後にお願いをして私の討論を終了させてもらいます。ありがとうございました。
【日本維新の会:波田大専委員】
日本維新の会を代表し、第一予算特別委員会に付託されました令和7年度予算案およびその他の諸議案については賛成。陳情106件については不採択。先ほど上がりました動議に関しては反対の立場で討論を行います。
(略)
以上が本委員会で我が会派が提言や要望を交えて行った質疑の主な内容でございます。市長はじめ市理事者におかれましては、我が会派の提言などを受け止め、今後の事業執行に反映されることを強く求めまして、私の討論を終わります。
【市民ネットワーク北海道:米倉みな子委員】
ヘイトスピーチは絶対に許さない
私は、市民ネットワーク北海道を代表し、本予算特別委員会に寄託さました市長提出による全ての議案に賛成。「第1号令和7年度札幌市一般会計予算を撤回の上、再提出を求める動議は反対。陳情108件は不採択とする立場から討論を行います。
(略)
市長が提案された「札幌市誰もがつながりあう共生のまちづくり条例案」については、第2条で、共生社会について「差別や偏見がなく誰も互いにその個性を尊重され、能力を発揮できる多様性と包摂性が強みとなる社会」と定義しています。
札幌市においては、特定の民族に対するヘイトスピーチが、大通公園や公共施設で行わてきました。またインターネット上では、特定の民族の対して民族の尊厳を傷つける侮辱的発言がしばしば見られます。
こうした差別表現、侮蔑の言葉によって、当事者は傷付き、苦しんでいる現状共有し、「ヘイトスピーチは絶対に許さない」という強い思いを発信し、差別をなくすために取り組んでいくことが重要と考えます。
近年は札幌市内においても外国人が就労し、家族が私立学校にに通うなど、外国人が短いに増えている現状があります。私が住んでいる地域でも外国人の方、子供たちをよく見かけます。
彼らと言語や文化、生活習慣が異なることは当然であり、理解し、尊重し合うことにより、お互いに住みやすいまちをつくっていくことが重要と考えます。
条例制定に否定的意見が多く寄せられていますが、条例の必要性や条例の理念を広く理解してもらうため、札幌市はパンフレットや出前講座などで条例の発信を進めるとのことです。
本条例が特定の人のものではなく、皆が共に生きていけるよう、性別や性自認、国籍や民族、障がい、出自などの違いで差別されることなく、お互いの理解を深め、尊重し合うまちづくりをすすめるための指針となることを心より願います。
以上、要望を交えて諸課題を述べてまいりました。理事者におかれましては、今後これらの提言・要望を市政に反映することを求め私の討論を終わります。
【議長】
以上で討論を終結し、ただちに採決を行います。このまま分割して採決を行います。
最初に陳情第49号・第50項・第52号から第56号、第58号から第60号・第62号から75号・第77号から第82号。第84号から第89号、第92号から第116号、第118号から第141号・第143号から第152号・第154号から第161号、及び167号を一括して問題といたします。
陳情108件を採択すべきものと決定することに賛成の議員の起立を求めます。
《坂元委員起立》
起立少数であります。よって陳情108件は不採択とすべきものと決定いたしました。
(略)
以上をもちまして本委員会に付託されました全案件に対する審査を終了します。本委員会の閉会にあたり一言ご挨拶をさせていただきます。
(略)
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