【最新情勢】市議会開幕 市長所信表明に「共生社会」の言及無し!

札幌市共生社会推進条例

2月13日、札幌市市議会の令和7年第1回定例会が3月28日まで44日間の予定で開幕しました。本定例会の目玉は、秋元市長が選挙公約に掲げて強く成立を目指している「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」(共生社会推進条例)です。

定例会召集日の13日は秋元市長による「提案説明」です。市長より62件の議案が提案され、提案者である市長の「所信表明」、「令和7年度予算の編成方針」、「令和7年度予算の柱」、予算説明以外の「一般議案についての説明」と続きました。

主要部分は下記にテープ起こししましたが、驚くべきことに市長の所信表明に「共生社会推進条例」について言及がなかったのです。「予算編成方針」にも一言もありません。

オリンピック招致に失敗し、この「共生社会推進条例」については全力で成立を目指すと見られていた秋元市長が、今年度の市政への臨み方を表明する冒頭演説で、1丁目1番地であるはずの「共生社会推進条例」について一言も口にしなかったのです。

このことをどのように捉えるかはそれぞれですが、2000件ものパブリックコメント、100件もの陳情が市長に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

「共生社会推進条例」については「一般議案についての説明」で説明がありましたが、推進に向けた強い姿勢は感じられず、これまでの議論に無かった「対話による相互理解のもと」という言葉が注目されました。

なお本会議は2月14日から2月18日までは議案調査等のため休会となり、、2月19日午後1時に再開されます。引き続き議会論戦を注視してまいります。

令和7年第1回定例会 議案等一覧

議案等一覧

市長所信表明

【議長】

令和7年第1回札幌市議会定例会を開催し、直ちに本日の会議を開きます。出席議員数は65人です。

(中略)

次に議案第3、議案第1号から62号まで2件を一括議題といたします。いずれも市長の提出によります。提案説明を求めます。秋元市長。

【秋元市長】

ただいま上程をされました令和7年予算中心とする諸案件の説明に先立ちまして、一言、所信を申しさせていただきます。

本年は私の3期目の任期の折り返しの年として、引き続き施政方針に掲げる二つの未来の札幌の姿である「誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続けるまち」と「世界都市としての魅力と活力を創造し続けるまち」の実現を目指してまいります。

現在札幌市は、まさに人口減少の局面にありますが、進展する少子高齢化も相まって、この局面は当面続くことが見込まれると共に、これに伴う経済活動の縮小や、既に顕在化しつつある社会の担い手不足など、様々な形での市民生活への影響が危惧されるところであります。

一方、気候変動対策やエネルギー、食料安全保障の重要性の高まり、DXの推進やAI技術の進歩など、社会経済情勢が目まぐるしく変化する中、北海道の持つ様々なポテンシャルが注目され、半導体やGX関連など、多くの産業の集積、投資が進んでおり、北海道、札幌を取り巻く環境は今、大きく変化をしております。

このように、札幌市がこれまでに経験したことのない新しい時代を迎えようとする今、私は今年1年を象徴する漢字として「続く」という文字を掲げました。

先人の方々が築いてきた歴史や伝統を大切にしつつも、将来にわたって持続可能で成長し、輝き続けるまちを次の世代に繋げていくために、変えることを恐れず、新たなチャレンジに踏み出す。そのような年にしたいと決意を新たにしているところであります。

そのために、昨年、対象地域に決定された「金融資産運用特区」や「国家戦略特区」の枠組みを起爆剤に、大きく動き出したGXの取り組みをさらに加速させるとともに、成長著しい半導体関連産業、IT・バイオ産業などを担う人材の育成、企業の集積に向けた取り組みやイノベーションの源泉となるスタートアップの創出など、変化に即した新しい経済基盤の強化を進める。

また人口が減少し、その構成も大きく変化する時代を迎える中、長年にわたり提供してきた行政サービスについても、時代の変化に応じたあり方に変えていかなければなりません。

例えば、市民の最大の関心事の一つであり、市政の永遠の課題である除排雪については、将来にわたり持続可能なサービスのあり方を模索するため、市民の皆様の意見に耳を傾けながら、事業者や専門家と意見を交わすための審議会を立ち上げ、市民議論をスタートしてまいります。

変わり続ける時代であっても、大切なものは守り続けながら、変化を恐れず進み、次の時代へ繋いでいく。そのような市政運営に全力を挙げて取り組んでまいります。

今後とも市民の皆様、そして市議会議員の皆様を初めとする多くの方々の一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

令和7年度「予算編成方針」

【秋元市長】

それでは、令和7年度の予算の編成方針についてご説明いたします。

我が国の経済は長きにわたったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にある中、国においては全ての世代の、現在および将来にわたる賃金所得の増加を最重要課題とし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現を目指すとしております。

また令和7年度の国の地方財政対策においては、社会保障関係費、人件費の増加や物価高が見込まれる中、行政サービスを安定的に提供できるよう一般財源総額を前年度比プラス1.7%確保するとともに、地方財政の健全化に取り組むため、臨時財政対策債の発行を得るとしております。

このような背景のもと、本市の財政環境につきましては、歳入面では、納税者数や1人あたりの所得割額の増加などによる個人市民税の増や地価の上昇や家屋の新増築による固定資産税の増など、市税等の一般財源の増を見込む一方、歳出面では、物価高騰、賃金上昇や社会保障関係費の増加に対応する必要があることに加え、今後も少子高齢化や生産年齢人口の減少などが見込まれることを踏まえると、難しい財政運営を求められるところであります。

このような状況においても、令和7年度予算では「誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続けるまち」と「世界都市としての魅力と活力を創造し続けるまち」という私の思い描く未来の札幌の実現に向けて「アクションプラン2023」に掲げた事業を着実に推進するとともに、子供・子育て支援の拡充や経済活性化策を積極的に実施する他、まちづくりの重要概念である「ウェルネス」「ユニバーサル」「スマート」に基づく取り組みを着実に推進し、また市民生活を支えるために物価高騰や人手不足などの喫緊の課題に取り組むものといたしました。

なお、こうした重要な政策課題に資源を配分するため、事務執行の効率化や成果指標に基づく事業の積極的な見直し、企業会計に対する繰出の見直しなどの内部努力や、土地の売却に加え、計画を上回る基金を活用しているところです。今後も財政規律の確保に向けて不断の見直しを継続してまいります。

これらの結果、令和7年度の各会計の予算規模は、一般会計では1兆2666億円と、令和6年度予算と比較して2.0%の増となり、また防災会計を除いた特別会計、企業会計を合わせた合計では1兆9761億円となり、2.3%の増となるものであります。

令和7年度「予算の柱」

次に議案第1号から第15号までの各会計予算につきまして、この主要な事項の内容を、令和7年度予算における予算の柱によりましてご説明申し上げます。

第1の柱は「子供子育て支援」についてであります。

まず子育て世帯への支援充実のため、子供医療費助成について高校生世代の通院入院にかかる医療費を対象に追加する他、病児・病後児保育利用者の利便性向上に向けた予約システムを導入いたします。

また、保育教育の環境整備のため、学校施設や児童会館の新築改築を進めるとともに、老朽化した保育所等の施設の更新や「仮称)こども本の森」の令和8年度の開設に向けた準備を進めてまいります。

さらに子供の見守り体制の整備のため、里親支援事業を包括的に行う「里親支援センター」を設置する他、社会的養護のもとで育った方を必要な支援適切に繋ぐ「社会的養護自立支援拠点」を設置します。

第2の柱はGX経済活性化についてであります。

まず北海道が持つ国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用し、再生可能エネルギー供給基地の実現や、世界中からGXに関する資金・人材・情報が集積するアジア・世界の金融センターの実現に向けて、資産運用会社等の誘致やGX事業等の認証制度を構築いたします。

次に、経済の活性化と更なる観光振興のため、半導体デジタル関連産業の拠点形成に向けた人材育成、研究開発支援および企業の誘致を推進する他、地域の魅力を高めるための戦略を策定実施する「観光地域づくり法人」の設立準備や観光需要の増加を踏まえ、オーバーツーリズムを未然に防止・抑制するための検討を進めてまいります。

また都心部の再整備に向けた政策につきましては、再開発などの支援の他、札幌駅周辺における交通円滑化の検討や、札幌駅北口駅前広場再整備の設計などを実施いたします。

さらに北海道新幹線の札幌延伸に向け、工事費等の一部を負担する他、新幹線札幌駅に東改札口を設置するための設計等を行うとともに、札幌駅周辺の開発等を踏まえ、都心のまちづくりを支える新たな交通システム構築に向けた実証実験を実施いたします。

第3の柱は、「ウェルネス」「ユニバーサル」「スマート」についてであります。

まず健康寿命の延伸に向け、アプリを活用したモニター事業を実施し、データを分析検証する体制を構築する他、老人クラブの活動に対する補助を拡充することにより、地域における高齢者の社会参加を促進してまいります。

またプロスポーツチームとの連携や、トップレベルの試合への招待など、市民がスポーツを見る機会を創出する他、大倉山ジャンプ競技場について国際大会の継続開催へ向けた改修設計を行うとともに、ノーマルヒルの併設化に向けた環境保全対策の検討を進めてまいります。

次に「多様性と包摂性が強みとなる共生社会」の実現に向け、外国人相談窓口の運営等を通じた暮らしの不安解消を図るとともに、後ほどご説明いたします「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」に関するシンポジウムを開催する他、アイヌ民族の交流や伝統文化の提供などの場としての施設の整備を進めてまいります。

第4の柱は安全安心についてであります。

まず災害の発生に備えた防災減災のため、被災状況を独自に情報共有し、災害対応の迅速化高度化を図る「防災デジタルプラットフォーム」の導入や積雪寒冷地の災害を想定し早期に総合防災訓練を実施いたします。

また「安全安心なまちづくり」のため、災害危険区域に居住するなど、優先度が高い避難行動要支援者の個別避難計画の作成を推進する他、在宅酸素療法や透析が必要な患者の受け入れなどの災害医療体制の整備を進めてまいります。

第5の柱は喫緊の課題への対応であります。

市民生活に大きな影響を与えている物価高騰への対策としては、住民税非課税世帯および令和6年度に実施した定額減税に係る調整給付の支給額が不足する方などへの給付金の支給や、食材費が高騰する中においても学校給食等の保護者負担額を据え置くための公費負担、家事用の水道料金について2ヶ月分の基本料金に相当する額の減額などを実施いたします。

これらの時につきましては、さきの定例会で議決いただいた住民税非課税世帯に対する給付金に係る経費に加え、後ほどご説明いたします補正予算に経費を計上しており、令和7年に必要な額を繰り越し、それぞれ実施してまいります。

また、人手不足が深刻な状況となっている運輸・建設・医療福祉などの分野における人材確保や次代を担う人材の育成など、生産年齢人口の減少が続く中での持続的な経済発展に向けた市内産業の支援に総合的に取り組んでまいります。

さらに公共交通ネットワークの確保対策として、バス路線の維持に関する補助を引き続き実施するとともに、廃止路線での代替交通等の導入や、バス運転手の確保支援について外国人材の受け入れも視野に入れながら進めてまいります。

続きまして、歳入の主なものについてご説明いたします。

(略)

一般議案についての説明

【秋元市長】

次に各会計の予算および補正予算以外の一般議案につきましてご説明申し上げます。

議案第16号は、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例案」であります。

これは近年これまで以上に多様性が尊重され、互いに支え合う包摂的なまちづくりが求められている中、誰もがつながりあう共生のまちづくりに寄与することを目的として新たな条例を制定しようとするものであります。

その主な内容としましては、共生社会の実現に関して基本理念を定め、市の責務並びに市民および事業者の役割を明らかにするとともに市の政策の基本となる事項について定めることとしております。

また、共生社会の実現に向けた必要な事項について調査審議し、意見を述べるための附属機関を設置することとしております。

本条例に基づき、対話による相互理解のもと、誰もが自分らしく安心して暮らし活躍できるよう、市、市民および事業者が連携・協働して共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

議案第19号、札幌市基金条例の一部を改正する条例案は、子供の健やかな成長を社会全体で支える仕組みを整えられるよう、この資金として広く市民や企業から受け入れた寄付金等を計画性を計画的に積み立てるため、新たに「札幌こども未来基金」を設けるなどのものであります。

(略)

以上で、ただいま上程をされました各案件についての説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

【議長】

お諮りいたします。ただいま説明のありました議案62件のうち、議案第1号から第44号まで、第49号から第62号までの58件につきましては、議事の都合上、その議事を延期することとし、議案第45号から第48号までの4件につきましては、これより議事を続行したいと思いますが、ご異議ございませんか。異議なしと認めます。

(略)

本日の会議はこれで終了し、明日2月14日から2月18日までは議案調査等のため休会とし、2月19日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ございませんか。

異議なしと認めます。従ってそのように決定いたしました。本日はこれで散会いたします。

コメント

  1. 木村秀幸 より:

    何ですか共生社会と言うのは?勝手に条例の名前にしないで欲しい。何か無機的で評論調の心のこもらない言葉ですね。豊かで思いやりのある社会の方がよほど札幌市民らしい温かみのある言葉ですね。中身も何かヨーロッパの破綻し掛けた欧州型民主主義を有難く押し戴いている未開のアジア人が作ったものみたいで、どこから来て何処に行くのか日本人のアイデンテイを捨て去ったところから発想された実りのないものです。

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