北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか?

北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか?

北海道開拓記念館から北海道博物館へ ④

展示シナリオの検討平成21(2009)年の北海道文化財審議会の答申から始まった北海道博物館開設事業は、平成24(2012)年3月の「北海道博物館設置プラン検討委員会」による答申を受けて、実施設計に移っていく。この間の経過は、北海道博物館が平成29(2017)年3月31日に発行した『北海道博物館要覧2015』に収録された「別添資料 北海道博物館の開館準備に関わる事業」(以下「別添資料」)に詳しく記載されている。以下の記述は原則として同書に拠ったものである。開設事業は、開拓記念館の建物の改修事業と展……
北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか?

北海道開拓記念館から北海道博物館へ③

北海道博物館基本計画平成21(2009)年8月、北海道文化審議会が「北海道における博物館のあり方と北海道開拓記念館の役割について」との答申を高橋知事に提出すると、同年10月、北海道は環境生活部道民活動文化振興課に「北海道ミュージアム(仮称)基本計画検討委員会」を設けた。そして平成22(2010)年5月、道は「北海道博物館基本計画」の素案を公表。パブリックコメントを経て同年10月に成案となった。同計画では、開拓記念館のリニューアルの基本理念として次を掲げた①。◇日本列島の北辺にあって、北東アジアと……
北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか?

北海道開拓記念館から北海道博物館へ②

平成19年知事選での高橋はるみ候補の公約開拓記念館の北海道博物館への改編は、高橋はるみ北海道知事の三期目の選挙公約だった。平成19年4月に行われた第16回統一地方選挙での知事選に立候補を表明した高橋はるみ知事は3月9日に記者会見を開き、「【私の政策】新生北海道・第2章〜道民はみんな家族、子どもたちに夢を、そして郷土に活力を!〜」と題した168項目からなる選挙公約を発表した①。開拓記念館のリニューアルは、「25の重点政策」の11番目。「政策の8本の柱」の一つである「安全安心そして包容力に満ちた地域……
北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか?

北海道開拓記念館から北海道博物館へ①

記念塔解体を決めた北海道環境生活部北海道百年記念塔(以下「百年記念塔」)の解体を北海道が最終的に決定したのは、平成30年12月策定の「ほっかいどう歴史・文化・自然『体感』交流空間構想」においてである。北海道環境生活部は同構想書9ページで下記のように示した。百年記念塔は、先人に対する感謝と躍進北海道のシンボルとして、また道民の貴重な財産として長く親しまれてきました。しかしながら、記念塔は、建設から50年近くが経過し、老朽化が進み、錆片などの落下もあることから公園利用者の安全性を確保することが重要で……