北海道百年記念塔はなぜ解体されたのか? 国連とアイヌ民族復興⑥
最終答申への不満アイヌ民族が旧土人保護法に代わる新法を提言したのは、昭和59(1984)年5月のウタリ協会総会である。それから12年の歳月が経過し、ようやく新法制定のために設置されたウタリ有識者懇の最終答申は、アイヌ民族が求めてきたものとほど遠いものだった。新法制定要求の核心にあった民族自決権は、「我が国におけるアイヌの人々に係る新たな施策の展開の基礎に置くことはできない」と一刀両断にされ、わずかに日本の多様な文化の一つとしてアイヌ文化を振興するものとなった。この答申を当のアイヌ民族はどう受け止……
