2026-09

北海道セトラーコロニアリズム

北海道セトラーコロニアリズムに物申す 第3回―その3(最終回)

北海道開拓から除外されたアイヌ?未完を根拠として次に検討するのは、西が「蝦夷地を植民化し、和人が開拓事業を行なう正当性を述べている」とする『経済学』からの文章なので、平野の主張の核心に当たる。しかし先に触れたようにこの論考は未完であり、解説によれば、「本稿本は本全集で初めて公表する」(『西周全集』第二巻、解説、738頁)ということから、公の目に触れたのはこの書物の刊行年、1966年が最初である。平野は執筆時期を1860年代と推定しているが、解説では書き始めたのは1877年ごろとしている。1877……
北海道セトラーコロニアリズム

北海道セトラーコロニアリズムに物申す 第3回―その2

前提と結論の入れ替え次に土地の私有権の議論に入る。平野は西の『性法略』(1870)から次の一文を引用する。『性法略』は『万国公法』と同様のフィッセリングの講義録の翻訳で、『西周全集』第二巻の解説によれば1871年春刊行である。私有ノ地ニ非サレハ、之ヲ耕シテ其産物ヲ収ムルコトヲ得ス。 (平野『思想』17頁)この文章を、ロックやヴァッテルの占有権の考え方、「所有権の基礎を労働-耕作におき、非農耕地はそれを通して占有できるという立場をそのまま踏襲している」と、平野はいう。しかし私には前者の文が、後者の……
北海道セトラーコロニアリズム

北海道セトラーコロニアリズムに物申す 第3回―その1

目的は論文検証前回まで平野の英語論文、Settler-Colonialism, Ecology, and Expropriation of Ainu Mosir: A Transnational Perspective(2023)について検討してきた。セトラーコロニアリズムという理論が、もともと北米大陸やオーストラリアの入植史から練り上げられてきたこともあってか、平野はこれを北海道に適用するにあたって、ケプロンらアメリカから招聘された顧問たちが北海道開拓に与えた影響を重視し、「ケプロンにとって、……